母屋の2階に

「待たずして逝きし人の御前に」 曽田章楷 書

 

日が暮れて盆提灯を点け、線香を焚けば死者を想い出します。

この言葉は短章集『蝶のめいてい』の文庫版中扉の裏に書かれている一文です。

 

8月の月命日に曽田様からこの書をいただき、後日母屋の2階の床の間に掲げました。

 

ところで、、、 これはいったい誰のことなのか?

永瀬清子の研究者 白根直子さん(現 赤磐市教育委員会の学芸員)は仏文学者の山内義雄であると答えて、その確信ぶりは潔く、真実はそれしかないと思いました。

『かく逢った』(1981年 編集工房ノア)では永瀬は同氏の無償の行為を哀悼しつつ、「期待されたほどの詩が書けなかったことのみが先生にはすまないが、先生はいまもなお私を見守っていてくださるような気がする。」と結んでいます。

 

この世とあの世の人口を比べればあの世の方が絶対多数であり、逝った人がなおも見守ってくれているという確信を持って生きることはそうでないより随分心強いに違いありません。