夏のわかれ

                      永瀬清子詩集 1975発行 思潮社 

 

季節、お前は私に なにかだ。

ふかい不分明な関係がある。

今は夏の詩をすべて嫌悪する。

はき気を もよおす。

私はつかれた。

私はさびしい。

ふと目が覚めると夏のエネルギーはもう去った。

私は葉の次第に落ちゆく楓のように自分を感じる。

蝋燭の灯で秋のわびしい詩をかきだす。

まだ何をかくやら見当もつかない。

夏はきのうのことになった。

この時間の移りは堪えがたい。

この夏のわかれは堪えがたい。

秋になって どうしていっていいか判らない。

裂目のある一枚の葉のこころと

私のこころが きっちり重なる。

自然にまかせて堕ちようとする

ああ この傾斜、

人にみえない いたましい擦過の痕。

風に ふきみだされる私。

季節、お前は私に なにかだ。