新年よ

                           焔に薪を 短章集3  思潮社

    

                     楓、柳、いちょう

           樹々の葉はすべて一度地に還っても

           ふたたび新しい芽ぐみのしたくをはじめる。

           新年は私共にまた鮮らしい出発の時を告げる

           樹々のように私共も亦何を望み芽とするか

           私の云う事が

           ただしく人に聴かれ受けとられるための

           やさしい耳を

           私は願う、願う、願う。

 

           私の心の底を語る時

           古くさいと思うな

           新らしすぎると思うな

           程を過ぎていると、又危険だと、思うな

           いじわると思うな、ひねくれていると思うな、

          まずそれが私の心の底の声である事をわかってほしい。

           新年はそのようなやわらかい耳をもって来てほしい。

           やさしい耳を

           私は願う、願う、願う。