「雨雲ふかく」

                    あけがたにくる人よ  思潮社


   雨雲ふかく垂れている方へ

   波間を縫って泳ぎゆくものよ

   おお 見えかくれするその光っている鱗

   自由を求める女たちの心が

   緑色の波をのりこえていくよ

   はてしなく解き放つものを求めて

   稲妻のひまない折れ曲りをあびながら

 

   女はいつも家かげにいて

   心出し切れずに泣いていた

 

   いま波を泳ぎ切ろうとするのは

   自分の眼で真実を見ようと願うため

   圧えているのは何かを知ろうと望むため

   広い世界の方へ

   いま自分の胸の鱗光らせて

   涙わすれて泳ぎすすむよ

   垂れこめた雨雲ふかく一心に泳ぎすすむよ