夜あけ

                     永瀬清子詩集 思潮社

 

一日に一度ずつ色彩のなくなることは

ほんとうに いいことだ、

あすのあさ鮮らしく生れ出るのを

こんなに待ちどおしくよろこぶ心を持っている私にはーー

この空間に在りと思われ

まだ姿をあらわさぬ わがひとよ

 

その人が今私に見えないこともいいことだ

地球のまるみだけ ぼんやり見えるつめたい空気の中で

翼のない鳥のかたちの影をおとしながら

ただひとり あの樅の木が

だんだん輝いてくるのを待っているように

新しい朝の光を待ちこがれている私にはーー